けんたろう

ウインド・リバーのけんたろうのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
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雪の中、裸足で10キロも走った女の子の物語。

「この地では"運"なんてない。生き残るか、諦めるかだ。」
今までおれが観てきた米映画で通用してたものが全く通用しないというのがジワジワと伝わってくる。
どんでん返しや、まさかそんな!ていうのは無く楽しめるというよりかは、なんていう…て感じだった。

「希望も楽しみもない!」と放つ犯人。
その"希望も楽しみもない"地に追いやったのは紛れもない、彼ら白人である。
そんな地で愛し合って夢を見たカップルを、さらに不幸へと追いやる犯人ら。
どこまで追いつめたら気が済むんだよ。

ジェレミー・レナーの纏う空気にはどうしよもない悲壮感があった。今までジェレミー・レナーの作品は『アベンジャーズ』シリーズと『ハート・ロッカー』しか観てなかっただけに、これまでの彼への印象を覆された。

一番印象に残ったシーンは、
何もわかってないド素人感漂うFBI捜査官エリザベス・オルセンが、最後に全てを知り「10キロも…」と言葉を詰まらせるあの場面だ。
観客をおいてけぼりにしないために、このウインドリバーという土地ではどうしてもおバカに撮られてる彼女が、全てを悟るのをおれは「本当にその通りだ…」と思いながら黙って見ているしかない。

時間は111分とされているけど、90分くらいに感じた。こんなにスクリーンにただただ入り込んでしまったのは久しぶりかもしれない。すごいものを観てしまった。