映画太郎

ウインド・リバーの映画太郎のレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.5
ネイティブ・アメリカンの社会問題については少し聞いたことがあったけれど、この映画でよりリアルに実感できた。この事件は、ウィンド・リバーという土地の呪縛と切っても切り離せない。クズ人間も多く登場するが、彼らもまたアメリカ社会の被害者であったりもして、事件を取り巻く闇は深い。

一方で、この映画の後味がさほど悪くないのは、ただ社会とか不運のせいにして絶望するだけでなく、どんなに理不尽な境遇においても、意志をもって強く生き抜くことの大切さをメッセージとして伝えているからだろう。厳しくも優しいコリーの言葉を聞くと、生きる勇気が湧いてくる。(コリーがネイティブ・アメリカンという設定だったらより説得力が増した気もするが…)

サスペンスとして面白く、人間ドラマとしても心を動かされ、社会派映画としても興味をそそられる。アクションシーンもカッコいい。総合点の高い充実した作品だった。