みんと

ウインド・リバーのみんとのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.9
かなりハードで奥行を持った作品だった。そして怒りよりも遥かに深い悲しみを痛烈に感じるものだった。

ネイティブアメリカン保留地で実際に起こった事件はまさにアメリカの闇。
ジェレミー・レナーの抑制的な怒りの演技が素晴らし過ぎて、伝わってくる持って行き場のないやるせなさが辛く悲しかった。

怒りの矛先が単に犯人ではなく状況を作り上げた見えない敵、国家自体にある事の絶望感。閉鎖的な世界の中で起こりうる人間の弱さ、引いては人間らしい生活とは何なのかまでも考えさせられた。

真っ白い雪原で静かに繰り広げられるミステリー展開と、仰け反るほどの銃撃戦の迫力の対比には呆然とした。

ラスト、締めくくられた父親二人の背中と短いメッセージから考えなければならない事の奥深さを強く感じた。
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