くわまんG

ウインド・リバーのくわまんGのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.0
「怒りがこみ上げて、世界が敵に見えるんだ!この感情がわかるかよ!?」
「ああ、わかる。でも世界には勝てない。だから俺は、感情の方と闘う。」

あらすじ:
雪深い高原ウインドリバー。かつて、先住民が強制的に移住させられた地。
野生生物局職員のコリーは、ある日狩りの途中で少女の遺体を発見。先住民の友人、マーティンの娘だった。
FBIに操作要請を出すも、やって来たのは新米の甘ちゃん女捜査官ジェーン。厳しい自然と先住民からの嫌悪が捜査を遅らせる。困り果てたジェーンをサポートするコリー。しかし彼もまた、癒えぬ傷を抱えていた……。

マジョリティにも善人はいるし、マイノリティにもクズはいる。でも怒りや憎しみが強すぎるせいで、同じ悪意に晒されて同じ痛みを味わっても、善悪の線引きがズレていることに気づけないことが多々。なら、先に痛みを知った者が、自分の心に沸き起こった闇に打ち勝てば、悲しみの連鎖を断ち切れるのではないか。

…というシリアスな内容でありながら、一番のみどころは処刑人コリーのスナイパー無双!『ボーダーライン』シリーズのアレハンドロよろしく、狩猟で鍛え抜いた嗅覚と狙撃が火を噴く!正義の拷問に背筋を凍らせろ!!

お説教や人物描写に傾倒し過ぎず、あくまで“2時間の娯楽活劇”を提供してくれるテイラー・シェリダン監督!間違いなく20年代アクションムービーの旗手!!