ケイスケ

ウインド・リバーのケイスケのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.1
自分が好きな映画のシチュエーションの一つが分かった。俺、雪国や冬の街を舞台にしたスリラー映画が好きなんだ。

狂気的な内容でもどこか映像的に美しかったり、寒々しく閉鎖的に感じる雰囲気が好みなのかも。最近だと『スノーマン 雪闇の殺人鬼』や『ヘイトフル・エイト』など。あと『ドラゴン・タトゥーの女』や『ぼくのエリ 200歳の少女』とかも大好き。

ネイティブアメリカンが追いやられたワイオミング州の雪深い土地、ウィンド・リバーで女性の遺体が発見された。FBIの新人捜査官ジェーン・バナーが現地に派遣されるが不安定な気候や慣れない雪山に捜査は難航。遺体の第一発見者である地元のベテランハンターのコリー・ランバートに協力を求め共に事件の真相を追うが…。

『ボーダーライン』や『最後の追跡』の脚本を手掛けたテイラー・シェリダン監督作。そして個人的には多くの脚本作よりも初監督作の本作が一番好きになった。まだ監督としては歪なところもあるんですが、終盤に誰もが驚くと思われる時系列の戻り方など、面白い場面が沢山ありました。

ジェレミー・レナー演じるコリーとエリザベス・オルセン演じるジェーン、この2人のコンビかなり良いですよ。あ、そういやホークアイとスカーレット・ウィッチじゃん。FBI捜査官のジェーンは『ボーダーライン』のエミリー・ブラントの立ち位置に近い。仕事でひとまず捜査は始めるんだけどその土地のことを何も知らずに、徐々に様々なことを思い知らされるあたりとか。

この事件の被害者はネイティブアメリカンの女性。「数ある失踪者の統計にネイティブアメリカンの女性のデータは存在しない。実際の失踪者の人数は不明である」…いやいやちょっと待って。恐ろしすぎますよ。ジェニファー・ロペス主演の『ボーダータウン 報道されない殺人者』とかを思い出したりしました。

しかし最後は犯人たちに鉄槌が下されます。まさに殺された女性が受けた苦しみを今度は犯人側が受けるわけです。かなりヘビーな内容ですがここで溜飲が下がりましたね。社会や人種の問題を取り上げつつもきっちり面白く仕上げるあたりさすがテイラー・シェリダン。脚本作も良いけどもっと監督作が見たいなあ。今後も期待大!