ウインド・リバーの作品情報・感想・評価

「ウインド・リバー」に投稿された感想・評価

10km。

誰かの生と死、その尊厳。


現代アメリカを舞台にこういう西部劇が出来るんだと思うには十分な風格の映画。
家と家までが遠い雪に包まれた大地の、そのひたすらに寄る辺ない感じの中に垣間見える熱を帯びた確かな感情。

この映画は、怒っている。
と感じた。

と同時に、その怒りを“鎮めたい”という祈るような願いも交差する鎮魂の雪と静かな怒りの冷たくて熱い『ウィンド・リバー』という映画。


元々役者から始まり現場で叩き上げて来たテイラー・シェリダン監督、上手いのは前提としてだけど完璧を目指すよりも映画自体に感情を持たせることを大事にしていて、本じゃなく経験から感覚的にツボを押さえてくる感じは監督デビュー作として確かな腕だと思った。
これ系での個人的に良い作品の条件でもある、どれだけシリアスの中にも笑い、も遠慮気味だけどあったしね。


ジェレミー・レナーの顔のシワがなかなか良い感じになってきたなあと思った。
とても画面に映えてたし、見事に演じてたと思う。


このうだるような暑さのせいで、さっそくまた観たくなってきた。
luna

lunaの感想・評価

5.0
ようやく観ましたよ!
何ヶ月溜め込んだって感じですが
レンタルでいいやんなんて言われてもしょうがないです。


でもね、一言いいですか

この最強コンビが次いつ観れますか?
奇跡が起きない限り、見れませんよね。


序盤は、先入観を取り除き見れるか自分と葛藤してましたが
師弟としてのホークアイとワンダのスピンオフですか!?っていう気持ちに負けました‥

でも、物語が進みに連れ、
そんな考える隙もないくらいでした

あの極寒の雪の上を裸足で10km‥

そのワードが出るたびに心が痛みました

国の目を瞑っても瞑りきれない闇の事情。
完全に内部を見ているようでリアリティがありました。
今作で取り上げていたのは先住民保留地問題
〝アメリカの最大の失敗〟なんて言われてるなんて知りもせずに‥
こういう歴史に関連する作品は知識も必要ですよね。
それを映画にしている監督も凄い

あんな広大な土地に対して6人の警部なんて
住民の数ではあっているのかもしれませんが無理ですって。
そこでおっきな車で登場したFBI役のエリザベスオルセンが
どれほどヒーローに見えたか。
また、ジェレミーの存在感。圧巻でした。


自分には知らないことが未知数にあるんだと思った作品でした
lgKaoring

lgKaoringの感想・評価

4.0
ウインドリバー先住民居留地という広大な土地で起きた少女殺人事件を追う物語。

ホラーかよと思うほどの不穏な音楽。
それに重なるスノーモービルの爆音が、より一層緊張感を煽る。
なかなか重厚な作品。

まるで西部劇だなと思って調べたら、町山さんが「たまむすび」の中でその事を語っており、腑に落ちた。

そしてアメリカの複雑な警察の仕組み。
まず日本でいうおまわりさん的なのが市警察官。
そして、良く映画やドラマで出て来る保安官はなんと警察官ではないらしい。地元の人に選ばれた人なんだと。全く知らなかった。
そして州には州警察。
その上に連邦警察(FBI)。
こういう仕組みだから州とか市を越えるとそれぞれの警察はそれ以上捜査出来ないんだとか。
で、今回の舞台、先住民居留地っていうのは連邦政府の土地だからFBIが出てくるんだと。

これを理解してから観ていれば解りやすかったかも知れない、と後悔。
その事も、この映画のテーマとなったアメリカの闇も、まだまだ知らない事(知るべき事)が沢山ある。
観ておくべき映画だと感じた。
Luck don't live out here.

※ネタバレしてます

タイラー・シェリダンによる「フロンティア三部作」最終章。インディアン保留地:ウィンドリバーで起きた”事件”を入り口に、元来人の住むべきでない過酷な土地に追いやられ、その場所に縛り付けられた人々の声なき叫びを拾い上げ、消えてしまった人々の魂を鎮める映画。

気が狂いそうになる静寂と白が支配する光景の中、物語の展開も場面の展開もとても静かだ。その分、ある瞬間に爆発する感情や炸裂する暴力の度合いもより凄まじいものになっている。特に、クライマックスで挿入されるカットバックと、続く凄まじい銃撃場面の爆発力には目を見張るものがある。そしてそれらが、この物語と背景になっている現実を象徴している点も見逃せない。ミステリやサスペンスではあるものの、「犯人が誰か」が実はそれほど重要ではなく、寧ろその状況に至らしめた、環境が孕んだ暴力性と無関心にこそ光を当てようとしている。

ジェレミー・レナーのベストアクト。『メッセージ』を超える好演。静かにじっと耐え、目を逸らさずに見つめ続ける”ハンター”のコリーは、何よりその目線の語りが雄弁だ。決して非人間的な超人ではなく、消えない傷を手放さずに抱きしめ続けることで、ウィンドリバーという過酷な自然と人の負の情念が混じり合った怪物と対峙することを選んだキャラクター。

ジェレミー・レナーに負けず劣らず、エリザベス・オルセンも素晴らしい。スカーレット・ウィッチとして見慣れてしまっているけれど、寧ろ本作で演じたFBIの新人捜査官ジェーンのような役が合っている。ジェーンのキャラクターが、ありがちな”無能な”新人捜査官ではなく、若く優秀で覚悟もあるが経験がやや浅い、という塩梅であるところがとてもよい。確かに、ある瞬間まで彼女はウィンドリバーに暮らす人々が「人間である」ということにやや鈍感であったが、調査のため訪問したマーティン(ギル・バーミンガム)の家にて、その当たり前の事実を生々しくまざまざと見せつけられ、己の無神経を恥じ入るのだ。そして、あの瞬間は我々観客もジェーンと同じく、その当たり前の事実によって思い切り殴りつけられる。

アバンの、月下を泣きながら走る女性。続く、事件の幕開けとなる、雪原で肺が破裂して死亡していた女性。それらは、何かやや他人事めいていて、あの瞬間まで物語といての出来事や事件だった。しかし、マーティンがドアを出て、コリーに対して感情を爆発させる瞬間にジェーンと共に遭遇することで、死んだ彼女は間違いなく誰かの、即ちマーティンの娘であることを思い出すのだ。頭でわかっていた筈のそのことに対して、自分が全くコミットメントできておらず、いつの間にか、まるでニュースを眺めるような鈍感な心持ちでいたことに対しての後悔と、この事件に、この土地にくらいついてやろうというジェーンの決心に観客は一体化する。ジェーンを介して観客をウィンドリバー自体に接続する構成は、何が起こっているかまるでわからない、蚊帳の外の人としてのケイトとは全く違う役割だ。

事件の”解決”後、見舞いに訪れたコリーとの対話の中で、ジェーンが殺されてしまった少女:ナタリー(ケルシー・アスビル)の闘いを讃え、泣く場面もまた素晴らしい。既に結末を知っている出来事の道程を知り、体感することで、他人事のようだった事件が、確かにそこに存在していた人間を襲った悲劇と闘いであったことを、ジェーンも観客も理解する。
ずん

ずんの感想・評価

4.2
凍てつく寒さの中 走る 何処へ

何があったのか 犯人は誰か
見つめるべき点がそこではなく、その土地全体を覆う闇だったことに気づいた時、取り返しのできないことをしてしまった気分になった

そこは、広いようで狭い世界に閉じ込められている
決して守られてはいない場所だった
そして人を腐らせる場所だった

彼女は最後まで生きることを諦めなかった
外の世界を見せてあげたかった
何か悪いことがあったとき、悪いのは「自分」なのか「他人」なのか、それとも「環境」なのか。そしてそれを回避するためにはその中のどれを変えることができたのか、また、変える必要があるのか。
ストーリーのボリュームは少々薄めだが、人間の感情が変化していく様をリアルに表現していたと思う。
haretsch

haretschの感想・評価

4.3
12時15分の回。

ようやく青森県でも公開。
うーん…。
辛い?心が痛くなる。
実話ってとこが、また何とも…
でも、実際にいろんな処であるんだろうと思う。
真相が出てくるまで、被害者の子に対する意識も、暖かいと言えない物が自分の中にあった事にも衝撃を覚えた。
こういう映画は必要だと思う。
あまり現実の場面では出会いたくない話だけれども。日本でも沖縄で、起きてるし。
加害者のゲスっぷりの描き方に、救われないよ…と切なさが倍増。
ハンターが復讐しても、救いにはならない、いや、なったのか?
親の気持ちで見たからなー。
監督誰かと思ったらボーダーラインの脚本の人でしかもこれがデビュー作って……才能の巨大さを見せつけられた気分。心を抉る復讐劇であり、よく練られたサスペンスであり、切り口鋭い社会派ドラマである本作がなんでアカデミー賞にシカトされたのか謎。
本当の強さとは何かという問いに対する答えは色々あるかもしれないけど、そのうちのひとつを提示してくれたように思う。
ジェレミー・レナーの人生の苦みを知り尽くしたかのごとき渋い演技も魅力的。ますます好きになった。
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