おなべ

イレブン・ミニッツのおなべのレビュー・感想・評価

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)
3.5
不可解に満ちた特殊な映画。賛否両論も頷ける作品。 11分間の群像劇をそのまま流してもつまらないので、あえて時間を交錯させ徐々に相関を明らかにする手法。今作では、点在した登場人物達の関係性が次第に顕になり交錯して行く群像劇によく見られるパターン…のように見えて不思議な事に実は殆ど関係性がない。そう即ちこの映画には普通に観ていては決して読み解くことのできない隠れたメッセージが存在する。要するに最終的なオチは、派手な連続事故の悲劇ではなく、最後に映し出された “黒い点” こそ、おそらくこの映画における最も重要な主題である。いわゆるそれまでの群像劇は前置きで、それと同時に最後の謎を読み解くヒントでもある。だからこそ登場人物に感情移入する必要は無かった(もしかしたら魅力ある登場人物にした方が興味関心は増したかも)。中盤の青年が言っていた「あなたにも黒い点が見えたのか」という言葉。不気味なテレビの映像も然り、これはあまりにも不可解である。青年が直接観た黒い点、画面に映し出された黒い点。本来鑑賞者側に立って初めて観えてくる筈なのに、物語の人物が黒い点を見えてしまっている謎の状況。

おそらく何か突出したメッセージが隠されており、何かしらのアンチテーゼか何かであるのだと思うが、力不足によりあと一歩理解に及ばず。
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