高倉健(1931年 - 2014年)にゆかりの人物のインタビューにより構成される2016年のドキュメンタリー映画。高倉自身の映像は、初期の任侠映画の短いシーンがある以外は、写真と、音声のみ(高倉の好きな言葉「寒青(かんせい=冬でも青々と立つ松のこと)」についてなど)。本作では、高倉について、俳優として、人間として、多様な人物がコメントをしているが、印象的なのは、ポール・シュレイダー(Paul Schrader、映画評論家、脚本家、映画監督)で、スティーブ・マックイーン(1930-1980)との共通性の以下の指摘はなるほどと思わせる。
「He had the same thing Steve McQueen had. He was great being Takakura Ken. There was nobody like him. Even in later life, he was still playing Takakura Ken.
彼はスティーブ・マックイーンと同じ要素を持っていた。彼はどんな役も高倉健という役に変えてしまう。他の俳優に無いものを持っていた。晩年ですら、彼は高倉健を演じ通した。」
ちなみに高倉は、マックイーンのファッションを真似ているとの指摘もあり、年齢もほぼ同じで、二人とも映画に登場した時の存在感・スター性は、他の俳優にないものがある。
ジョン・ウー監督は、高倉の主演映画『君よ憤怒の河を渉れ』(1976年)のリメイク「マンハント 追捕 」(2017年)の監督もしているが、本作では同作品のことも含めて、高倉について語っている。「君よ憤怒の河を渉れ』で高倉と共演したのが中野良子で、同作は中国で大ヒットしたが、中野自身からの同作へのコメントはなし(同作への出演により中野の中国での知名度は高い)。本作は、中国映画『単騎、千里を走る。』で高倉と共演した俳優チュー・リンが映画の冒頭とラストに登場するので、中国の視聴者はより楽しめる内容。