ストイックなまでにペルソナを演じ切る、という意味のみにおいて三島由紀夫と同質なものを高倉健に感じていたのだがポール・シュレイダーの「Mishima」のオファーを断腸の思いで断っていたという事を知るにつれ緒形拳ではなく高倉健で観たかったとつくづく思う。
このドキュメンタリーは健さんと関わりのあった著名人や一般の人々のインタビューで構成されているが、その人選とプライオリティの恣意性に若干鼻白んだとはいえ、日本の最後のスター、スナフキンの如く寄る辺のない最後のファンタジーの住人としての「健さん」のその佇まいに想いを馳せるのであった。