140字プロレス鶴見辰吾ジラ

帝一の國の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

帝一の國(2017年製作の映画)
3.9
”青春政治コント”

予告編の段階でドタバタするだけの薄っぺらい邦画と思いきや、映画という大嘘を武器に大きな演技と大声と熱量のパワープレイで煙に巻くようなエンターテイメント作品に仕上がっている。そもそも生徒会長が学校を揺るがすような、もしくは国や人生を狂わせるような役職ではないのは、現実に生きる我々には周知の事実なのだが、”圧倒的架空”の舞台力を用いて、政治ドラマをシンプルに伝える教育作としても秀逸な立ち位置にある。単に真面目にやってしまえばうすら寒い舞台劇に過ぎないのだが、今回は熱量に振り切って、役者陣営が外連味溢れる大きな演技と漫画チックな臭く、キザなセリフと大声を含む、コント調に掛け合うことで、大枠として”コント”を大ボリュームで見ているような錯覚に陥らせている。邦画ならではのガバガバ設定ではあるが、漫画であり政治コントと思えば苦に感じる要素は少ないし、かつ主演の菅田将貴のオーバーアクションと絵に描いたアホらしい七三分けに思わず肩が緩んでしまう、そして補佐役の志尊淳の愛らしき弟キャラの可愛さ、切り札的立ち位置の竹内涼真の出で立ちや主人公との身長差、ガタイの違いからの対比構図、野村周平の全体を見渡したときの若手俳優陣の中での”実際的な”「この程度だな」というポジショニングと割と隙のなさがキャスティングで光っている。その他にも金髪ロン毛の分かりやすい悪役や、ダークサイドに堕ちそうになる主人公とその成長など、青春要素も踏まえた上で、政治というものを「血を流さぬ戦争」というワードを使いながらも遠巻きに見ながらネタにする”コント性”によって絶妙なバランスで見やすい一作に仕上がっていることに驚いてしまった。






最後に・・・
山路和弘さんはやはりいい声だった!!!