回想シーンでご飯3杯いける

帝一の國の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

帝一の國(2017年製作の映画)
3.7
原作を全く知らない事もあり、正直冒頭はなかなか入り込めなかった。日本の派閥政治を生徒会というシステムに落とし込んだ風刺コメディとして捉えると、高校生を描いた作品としてはあまりに保守的に思え、何とも複雑な気持ちに、、、、。

しかし、そんな若者達の体育会的な行動や考え方が、僕のような大人の心配よりも遥か手前の、無邪気な衝動をベースにしている事がだんだん分かってきて、中盤の和太鼓やマイムマイム事変辺りからは、この馬鹿っぽくて熱い世界観に完全にハマってしまった。

後から知ったんだけど、原作は少年ジャンプ掲載という事で、もうこれは昭和から続く熱血青春劇画以外の何者でも無いのだと思う。グラウンドのシーンでやたら土煙が大袈裟に描かれているのがいかにもジャンプっぽくて、それを見るだけで笑ってしまった。

一昔前にこれを実写化しようと思っても、キャストはジャニーズに頼るか、高校生には見えないおっさんの実力派を起用するしか道はなかったと思うんだけど、今の日本には菅田将暉や野村周平のように若くて経験豊かな俳優がいる。竹内涼真も今回の役どころで株を上げたんじゃないだろうか。

序盤で保守的に思えた描写も、終盤でしっかり着地点を提示して、晴れやかな気持ちにさせてくれる。政治風刺コメディとしても本当に良く出来ていると思うので、これを若いお客さんに観てもらう意義は大きいと思う。笑えて、感動できて、微笑ましくもある、とても楽しい作品だった。