オレンチ

デッドプール2のオレンチのネタバレレビュー・内容・結末

デッドプール2(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

『キーラは出てくれなかったから、ジョシュに頼んだ。彼もいい俳優だよ。キーラには負けるけどね』
──ライアン・レイノルズ。



1作目の公開が2016年ですから、R指定でありながら2年後に続編公開ということで、1作目の反響がいかに良かったかが伺えますね。
監督は「ジョン・ウィック」や金髪爆弾こと「アトミック・ブロンド」で今、アクション界で最も乗っているデヴィット・リーチ(デヴィット・リンチではない ← これ自体、製作陣のギャグにあります笑)に交代し、どのような変化があるのかも含め、非常に楽しみな作品であります!
デヴィット・リーチ監督のアクション哲学はなるべくカットを割らずにそれらしく見せることだそうですよ。「アトミック・ブロンド」なんかではそれが顕著に現れていましたね。


というわけで、
字幕版1回、吹き替え版1回、デヴィット・リーチ、ポール・ワーニック、レット・リース、ライアン・レイノルズによるオーディオコメンタリー、各種特典、スーパードゥーバーバージョンの字幕版を1回鑑賞してからの感想になります!
いつもそうですが、やっぱり今回もコメンタリーおすすめです笑
1作目のコメンタリーなんかライアン・レイノルズ邸の地下室で収録されたらしく、アットホーム感が半端じゃなかったです笑


まずですねー、終始楽しめる作品でありました!
なぜそうなっているか僕なりに考えるとですね、作り手側が圧倒的にデッドプールという作品をどう作ればよいか"わかっている"!
こういうことだと思います。
まぁ僕自身、ほぼ映画から入った超にわかなのであまり大きなことは言えないんですけどね。(ほぼというのは映画化の少し前にゲーム化されて少々話題になっていたからです)

作品の性質にもよりますが、原作ありきの作品がR指定になっているというだけで、一定の安心感があるんじゃないかなと思います。
X-MENシリーズなんて特に人気シリーズで、デッドプールもドル箱になる可能性が十分にありますから、興行面だけ考えたら絶対にR指定なんかにはしないですよね。
R指定にした方が当然表現の幅が広がりますから、作品やファンへの愛を強く感じますね。

またヒーロー映画が飽和状態の今だからこその作品ですね。
1作目の公開が10年前とかだったらここまでヒットすることはなかったんじゃないかなと思います。

そしてですね、本シリーズを語る上で絶対に避けて通れないのがデップー役をできるのがライアン・レイノルズ以外考えられないということですね。
冒頭で引用したように、メイキングのインタビューにおいてもあの調子で、ウェイド・ウィルソンという役ではあれど実際のライアン・レイノルズとほぼ変わらないんですよね。
もはやライアン・レイノルズの為に生まれたキャラクターといっても過言ではない!というか、これには根拠があるんです。
なぜならデップーを生み出した作者はですね、”ライアン・レイノルズとシャーペイ(犬種)を足して二で割ったような顔”をイメージして書いていたそうなので、まさに身も心もって感じですよね。

ライアン・レイノルズ側もそうとは知らずにキャラクターに惚れ込み、1作目の約11年前、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」よりも前にデッドプールの映画化を計画していたそうです。
つまり、ウェイド・ウィルソン AKA デッドプール = ライアン・レイノルズという必然でキャラクターが成り立っているんですね。

また前作見事だなぁ〜と思った点ですが、重めの誕生譚でありながら、時間軸を前後させることでコミカルとシリアスを作品全体に散りばめ、デッドプールらしさを保っていました。
じゃあ今作はどうかというと、全編デッドプールとして描けるわけで、そういった手法を取る必要はありませんが、ちょっと前半はトーンが暗すぎるかなぁ〜と思う印象でした。
ただし、ヴァネッサが殺されるという出来事は作品の動機付けとしては必然で、致し方ないかな〜って感じでもありますね。
ただ前半が暗いかな〜と思う以外は本作にしかできないであろうことをよく分かっていて、それをしっかりと表現されてますね。
X-フォースの下りなんかまさに本作にしかできないですよね。もう腹がよじれるほど笑いました。唐突のブラピとかもうね笑
そうそう、X-フォースのメンバーであるピーターおじさんですが、かなり製作陣のお気に入りになったらしく、過去を正すことで生き延びたわけですから、次作があれば確実に出演するでしょうね。スピンオフなんかもひょっとしたらひょっとするかも?笑

あとはドミノなんかも本作以外のヒーロー映画ではあそこまで絶対にキャラ立ちしないでしょうね。
気持ちがいい「ファイナルデスティネーション」とでもいいましょうか。運が良いという能力があそこまで爽快に感じ、笑いに変えれるのは本作のトーンならではだと思います。
ドミノ役のザジ・ビーツも完全にハマってますね。堂々としてる感が半端じゃなくて、運の良さになぜか説得力があるんですよね。

また以外と複雑なこともやってるんですよね。
本作のメインヴィランが誰かというと、未来のファイヤー・フィストですね。
本編に登場しないメインヴィランって他にないですよね、多分。
それをケーブルの影に隠すことで、前半はケーブルをヴィランに仕立てあげてますね。
そのおかげで、デップーもケーブルもドミノもふんだんに見せ場を作ることができますし、第三幕は共闘するということで展開もうまく作り出し、かつ本作のテーマである"家族"、"仲間"につなげていってますね。
そういった基本的なことも実はしっかりとやってるんですよね。X-フォースなんかも今回のテーマに沿ったB面的なもんですもね。
あと、前作の小ネタを挟んでくるあたりとかニヤニヤしちゃいますよね。ヒーロー着地とか、コカインと一緒に目の特効薬とか笑

ただ、前述の通り、未来のファイヤー・フィストは本編に登場できないわけですから、派手さを保つためのジャガノート登場!ってわけですね。

あとは語っても語り尽くせないのが、全体に散りばめられた小ネタの数々ですよね。
僕はアラン・テュディック自体気づかなかったのにマット・デイモンが出ているなんて全く気付きませんでしたし、特典やコメンタリーを見ない限り一生気づくことはなかったと思います笑
ヒース・レジャーの「ロック・ユー」で初めて見てからアラン・テュディックも結構好きな俳優さんでして、スプラッターを上手に茶化した「タッカー&デイル」なんか非常にオススメだったりします。
「グーニーズ」ネタでジョジュ・ブローリンをおちょくるあたりも最高ですよね。



最後にスーパードゥーバーバージョンについてですが、本当にどうでもいいシーンを間延びしただけで、びっくりするぐらい見ても見なくてもどっちでもいいレベルでした。
ただ、ヒトラーをいじるあたりのネタはR指定といえど厳しかったのかもしれませんね。


最後まで長文・乱文にお付き合い頂きありがとうございました。