イチロヲ

田園に死すのイチロヲのレビュー・感想・評価

田園に死す(1974年製作の映画)
4.0
恐山の麓で暮らしている少年が、新天地へと出立するべく、母親の束縛に抗おうとする。寺山修司の自伝的作品と称されている、アングラ映画。

寺山自身の普遍テーマ「母親離れ」を呪詛的演出で描いている作品。ウジウジして気に病んでいるところを延々と見せられるため、「どれだけカーチャンに取り憑かれているんだよ!」というツッコミが止まらなくなる。

筆者のフェイバリット女優・新高恵子が映像内から消えると、途端にテンションが下降してしまうが、不思議な舞台セットとサイケなフィルター処理を利用したトリップ映像が、強大なインパクトを生んでくる。

川に流した赤子(人形)が即座にクルンと反転してしまうハプニング的なカットと、川上から大きな雛壇がドンブラコと流れてくる伝説的シーンが、あまりにも面白い。そして、唐突に怪気炎を上げまくる、三上寛が無駄にカッコいい。
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