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田園に死すのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

田園に死す(1974年製作の映画)
4.0
青森県・下北半島の恐山に近いとある村。少年時代の“私"は古い家屋で母と2人暮していた。母への屈折した思い、隣の家に嫁いできた美しい人妻や村にやって来たサーカスの誘惑が少年を家出の誘惑へと駆り立てる。
中年になり上京した"私"は1本の映画を作っている。"私"は次第に捨ててきたはずの故郷への絶ちがたい絆を自覚する…。
歌集「田園に死す」をもとに、子供時代と現在を同次元で綴ることで、ひとりの少年の自己形成の過程を映像化した、寺山修司の自伝的作品。
迷信と因習が支配する故郷青森、口煩く束縛する母親に対する愛憎と執着、女性に対する欲望と憧れと恐れ、思春期の自分を駆り立てる故郷と母親の束縛から逃げる家出の誘惑が、子供時代の自分と大人になった自分が交錯するメタフィクション的なストーリーを通して浮かび上がる実験的なスタイルは「エヴァンゲリオン」に、夢幻のような映像スタイルは椎名林檎のプロポーションビデオなどに影響を与えていて、寺山修司の故郷と母親に対する愛憎と原体験を描いた実験映画。
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