ーcoyolyー

淵に立つのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.5
傑作だ。「アカルイミライ」と浅野忠信がしけた町工場にいるシチュエーションは一緒なのに何がこんなに違うんだろう。話の筋自体はむしろこっちの方が重苦しいと思うんだけど、変な下心がないからあっちに滲み出るいやらしさとは無縁なんだな。力みがない。そういう人がそう生きてるようにただ撮る。妙に明るいというか抜け感がある。風通しがいい。その塩梅を絶妙に保ち続けるバランス感覚もある。だからこっちの世界観の方が居心地がいい。

深田晃司監督、SNSで諸々真摯な対応をされていてよく名前はお見かけするのでもし映画が駄作だったら嫌だなと思っていたけどそれが杞憂で済んで良かった。積極的に作品を追いたい監督だ。そして同時に私は黒沢清作品の何が向いてないのかをもっと言語化したくもある。深田晃司作品がアリで黒沢清作品が無理なの、ちょっと自分で何が引っかかってるのか気になる。

芸達者に囲まれてるのにそこから一歩も引かない太賀の踏ん張り方かっこよかった。あそこで腰が引けない度胸よかった。「そこのみにて光輝く」の菅田将暉バリに、あれ?この人只者じゃないな?と才能の真価を発揮してた。テレビで見る姿とまたちょっと違う役者としての深度がわかるというか。二世俳優の枠でいうなら安藤サクラと並び立つ逸材じゃないのかな。
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