クドゥー

淵に立つのクドゥーのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.0
『あらゆる関係性とは、一瞬の淵に立っている』

町工場を営む夫婦とその娘の元に夫のかつての知り合いが転がり込んでくる深田晃司監督作品は、家族を破壊し再生させる過去からやって来た恐怖に隠されていた衝撃の真実を通じて、その血脈にまた人間の業というものを感じざるを得ないヒューマンドラマ映画の傑作。

よくある「家族に関心を示さなかったせいでイケオジに寝取られる系」かと思って観ていると、ダルデンヌ兄弟の「息子のまなざし」を彷彿とさせるというかそれ以上の試練があり、行き場のない心がどう振れるのか予測のつかない作業場での緊張感が素晴らしかった。

直立不動で淵に立ち続ける浅野忠信は類い稀なる存在感というポテンシャルを最大限に発揮され、追い込まれる芝居自体ががサスペンスな筒井真理子は監督のミューズ待ったなしだが、何と言っても真顔の中でも様々な感情を覗かせるあるいは覗きたいと思う太賀である。
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