社会学者

淵に立つの社会学者のネタバレレビュー・内容・結末

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

何とも言えない映画・・・としかいいようがありません。宮台真司教授の言葉を借りれば「世界はそもそもデタラメである。」といえばいいのでしょうか。
殺人の罪を犯し刑期を終えて出てきた八坂(浅野忠信)。その共犯者だったが服役をしないですんだ利雄(古館寛治)。利雄は刑務所から出てきた八坂を自分の工場に迎え入れる。
当初妻の章江(筒井真理子)は怪訝な感じだったが、娘の蛍(篠川桃音)は八坂になつき段々打ち解けていく。やがて八坂と章江は不貞を犯す・・・。
(このような不貞な関係はあるものの)家族の中に受け入れられていった八坂だが、ある日突然八坂は蛍に対して暴行(?)を働き、それが原因で蛍は障害を負ってしまう。八坂はそのまま行方をくらまし利雄と章江は八坂の行方を追う。
まずひとつの謎。何故八坂は蛍に対し暴行したのか。利雄はこう言う「蛍があんな目にあって実はホッとした自分がいた。」続けて利雄は妻にこう言う。「お前もホッとしたんじゃないか。だって八坂とお前は不貞をしてただろ。」つまり、父母の犯した罪が子に表れたというわけだ。
途中八坂の息子と名のる孝司(太賀)も一緒に八坂を探すが結局見つからない。
最後章江と蛍は心中を図り橋の上から川に飛び降りる。
最後の場面、章江は息を吹き返したが、蛍そして蛍を助けた孝司はピクリとも動かず(=生きているのか死んでいるのか分からない)映画は終わる。
章江と蛍がクリスチャンというのも印象深かった。信仰とはかくも無意味なのかと・・・いや逆に信心深かった故に親の罪が子に罰として表れたのか・・・。(ただし、キリスト教は予定説なので個人の救済は予め神の意思によって定まっている。故に良いことをしようが悪いことをしようが、救済には関係ない。仏教は因果律。ある原因によって結果が生じる。利雄が言ったことは因果律ですね。)
最後にもう一度言いたいです。「世界はそもそもデタラメである。」と。
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