ヒロ

淵に立つのヒロのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.0
妻の夫に対する敬語、無宗教とプロテスタント、冒頭から家族としての結合力の希薄さを感じさせる。でもやはりそのすべての根源となるものは夫が過去に犯した罪にある。その罪に対する明確な自覚できるような罰が訪れない不安と恐怖。目の前にある家庭というもの自体が罰なのかもしれないという疑心。もはやこの家庭は家庭としての形を成さず浮遊する独立した三体の個に見えた。そこへ現れるのが実態の掴めない霊体のようなもはや神々しいまでの外界からの異物。結果的に彼がもたらすのが夫への救済であり、妻への厳罰であるというのがこの映画のミソだと思う。罪に対する罰は必ずしも人を苦しめるものではないという心理というか真理。義務を怠ったというのが正しいのか、観客への意図的な挑発というのが正しいのか、邦画は過剰に説明しすぎるのがよくないがその映画としてのスタンスも取り扱う題材も邦画らしくない邦画。ちょっとこの監督気になる。
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