凛

淵に立つの凛のレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
3.9
『よこがお』公開前におさらい鑑賞。

普通の家族でいたはずなのにふとした事で幸せが崩れ落ちていく様、人の心の闇を幾重にも描いている。
夫(古舘寛治)は自分の過去を妻(筒井真理子)に隠していたし、妻は男(浅野忠信)との不倫を隠していた。
娘が重い障害を負ってからお互いに向き合うという皮肉。
男の息子(仲野太賀)が消息を辿って働きに来て新たな過去が明らかになる。
真実は変わらないのに、一つ一つ知る事で揺れる心。

ラストは観る人に委ねられる形だが元には戻らないだろうなとも思う。
あまりに赤裸々に分かってしまうと案外人の繋がりは途切れてしまうものなのかもしれない。
知らないままなら続いていたかもしれない幸せは二度と掴むことは出来ない。
過去に犯した罪からは逃げられない恐怖。

緩やかに進む話だが張り詰める緊張感。
人を信じられなくなる後味の悪さが秀逸。
凛