ジャックシューチャー

淵に立つのジャックシューチャーのレビュー・感想・評価

淵に立つ(2016年製作の映画)
4.0
町中で小さな工場を営んでいる敏夫と章枝は小学生の娘と3人で平穏に暮らしていた。そこに敏夫の旧友だという八坂がやってきて敏夫は章枝に何の相談もなく雇い入れ、3人が住む同じ家に住まわせる。とても丁寧で娘の面倒見も良い八坂に次第に好意を寄せていく章枝だったが、、

冒頭のメトロノームのリズムに合わせて表示されるタイトルシーンからして秀逸。
ゆっくりと、でも確実に、リズムに乗らされるように否応なく人生は進んでいく。その向かう先が不幸のどん底だとしてもそれに対峙していかなければならない、という容赦の無いメッセージに受け取れる見事なタイトルです。

展開としては静かなやり取りがずっと続くのですが、常に何かとんでもない事が起こりそうな不穏な雰囲気が漂っており非常にスリリングなんです。
そして古舘寛治演じる親父が絶妙!こいつ自然に振る舞っているようだが明らかに何か隠してて、そのサスペンスも一見地味ながらもとてつもなくこの映画を面白くしています!

役者さんたちの演技は皆素晴らしく、中でも浅野忠信!
こいつ何考えてるか全くわからない、ただただ不気味な感じを見事に出してる!この役者はほんとにすごいと思います。
多くを語らないセリフを役者の目配せや間の取り方、色などで補ったりする、と言うか情報を強化させるような深田晃司の演出も冴え渡っていてお見事です!この監督をもっと追って行こう。

極上のサスペンスでした!
心理サスペンスとも言うべきか、とにかく傑作です!!