シズヲ

ピンク・フラミンゴのシズヲのレビュー・感想・評価

ピンク・フラミンゴ(1972年製作の映画)
3.6
「とにかく好きにお下劣やりまくったぜ」と言わんばかりのバカっぷり。チンコ、スカトロ、獣姦、肛門など、内容はアホみたいに汚くてなんだか凄い。ベビーベッド婆さんに種馬ビジネスといった本筋ではない部分も絶妙に気持ち悪い。でも本作の面白さは「悪趣味をやたら軽快に描写していること」なんだよな。そのせいで目を背けるような場面でもなんか受け入れられてしまうし、この作品自体もなんやかんやエンタメっぽい気がしてくる。ボンクラのくせに変な凄みのある映画だ。

超低予算らしいのもあってか演出に大した工夫は無いし、特にカットのつまらなさは全編に渡って一貫しているのでけっこう致命的。強烈なお下劣描写以外の場面ではそのへんが顕著。そういう意味で映像は別に面白くないんだけど、所々で挟まれる音楽のセンスは妙に良いのがニクめない。誕生日パーティーの場面でのBGMの使い方は頭がおかしくて最高だ。それと背徳をひたすら貪って神の如く君臨するディヴァインのキャラクター性はアンチヒーローとして結構な大物感があった(そうかな?)。

本編も汚いが未公開シーンも汚い。監督のジョン・ウォーターズがある場面に対して「我ながら理解不能だ」と宣ったのも面白すぎた。あんたに解らなかったら誰にも解らない。あと本編の映像が一切出てこない当時の予告編で笑った。
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