エイデン

ガール・オン・ザ・トレインのエイデンのレビュー・感想・評価

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アメリカ、ニューヨーク州ウェストチェスター郡
夫と離婚し、職も失ってしまったレイチェルは、友人のキャシーと同居しながらも心の穴を埋めきれずにいた
そんな彼女は、毎日出勤するふりをしながらメトロノース鉄道の3両目の決まった窓際の座席に座り、ベケット通り15番地の白い家に住む夫婦を眺めるのが日課となっていた
その夫婦はレイチェルにとっての理想像で憧れを抱いていたのだ
夫婦と違ってレイチェルの結婚生活は悲惨なものだった
望んでいた子どもになかなか恵まれなかったレイチェルはアルコール中毒に陥り、酔う度に夫のトムに酷い罵倒を繰り返す日々
そしてトムの会社のパーティーの日にも暴れたことが原因で、夫は解雇されてしまったのだ
やがてトムはアナと浮気を始め、彼女が妊娠したことをきっかけにレイチェルは捨てられる形となったのだった
あの理想の夫婦の家の2軒隣が、もともとレイチェルとトムが住んでいた家だったのだ
その6ヶ月前 ベケット通り15番地の白い家に引っ越してきたメガンは、夫であるスコットとの幸せを掴みながらも退屈な人生に飽き飽きとし、精神分析医のアブディックの元へセラピーにかかっていた
またメガンは、生まれたばかりの娘イーヴィを愛するアナのもとでベビーシッターとして働いていた
時折かかる無言電話に苛立つアナに対し、トムは前妻レイチェルの嫌がらせだと諭しながら対処に追われる
そんな折 メガンは唐突に画廊からスカウトされたためシッターを続けられないと冷たい態度で仕事を辞めてしまうのだった
再び現在
いつものように電車からメガンとスコットの家を覗いていたレイチェルは、メガンが知らない男とポーチで抱き合っている姿を目撃してしまう
勝手な理想の夫婦像が崩れることにショックを受けたレイチェルは、なりふり構わずその場で酒をあおると、次の駅で下車する
理不尽な怒りを抱くレイチェルは、酒の勢いのままメガンの家へと向かうが、いつも自分を見ているスーツ姿の男が追ってくることに気付き、声を荒げる
ふらふらになりながら尚もメガンの元へと向かうレイチェルだったが、トンネルに差し掛かった際に意識を失ってしまうのだった
気が付いた彼女は頭に傷を負っており、自宅に帰るとキャシーに心配される
しかし断片的な記憶しか残されていないレイチェルだったが、後日 刑事のライリーとガスキルの訪問を受ける
レイチェルが意識を失ったあの日、メガンが行方不明になっており、彼女は疑われてしまっていた



ポーラ・ホーキンズのベストセラー小説を映画化したサスペンス・スリラー映画

問題を抱える女性3人、何も起きないはずがなく
という具合に、昼ドラばりのドロドロを交えつつ事件の全貌が見えていく作品
ミステリー調だったり、メロドラマ風だったりと色々忙しいけど本質はスリラー

アル中の荒んだ女性レイチェルの視点をベースにしつつ、現在と酒で穴だらけの過去が交差していくので、若干全体像が把握しづらいのは注意
ミステリーによくある信頼できない語り手というわけだけど、ミステリーとして観てしまうと、唐突にどんでん返しが始まったり、犯人がわかったりするので、ミステリーとして観てしまうと駄作に近いかも
ただそういう風にも観えてしまう作り方がされてるのが問題点ではあるかな
関係相関図が昼ドラかつ、登場人物もややこしいので、しっかり追っていく必要もある

内容としては原作の面白いところはわかると言った感じ
面白いんだけど、本の持つ魅力は引き出しきれていないようなモヤモヤ感もある
ただ凄まじい演技力を見せたレイチェル役ののエミリー・ブラントは評価するしかない
いや、アル中で荒んで夫に捨てられた無職女が、電車の窓から理想の夫婦見かけて毎日眺めては妄想してるってどんなキャラだよ
その夫婦の浮気見かけてとっちめに行くとかヤバすぎだろ
とか思ってたんだけど、それを見事に現実に落とし込んでる
全く理解できなかった観てて腹立ってくるこじらせ女の心理模様が段々と明かされてくような繊細すぎる演技だった

なかなか突拍子もないストーリーではあったんだけど、女性の弱さや底力を存分に感じることができる作品
電車でヤバめな顔で外眺めてる人がいたら温かく見守ってやろう
エイデン

エイデン