ペイン

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめのペインのレビュー・感想・評価

2.0
蓮實重彦が腐した映画の中にはけっこう面白いものもあると私は思うが、それでも本作に対する彼の"愚かにして醜い"という感想には少なからず同情してしまう。

いつもの"淡いソフィアタッチ"で描くのは100歩譲っていいとしても、それにしてもあらゆる部分が中途半端であり、どこの描写にも本気で切り込まないので90分ながら平板で単調極まりない。

"雰囲気美人"という言葉があるが、まさにそんな感じの映画だった。決して雰囲気美人をディスりたいわけではない。雰囲気だけでも良いのだから立派なことだとは思う。

オリジナルの『白い肌の異常な夜』が大大大好き人間の言うことなのであまりあてにはしない方がいいと思うし、きっと本作から観た人はそれなりには楽しめると思う。ただあの狂気と禍々しさ、最後に漂う妙なアゲ感すらも知ってしまった身からすると本作はただただ凡庸と言わざるを得ない。

現状のソフィア・コッポラワースト。
ちなみに私は初期2作の『ヴァージン・スーサイズ』『ロスト・イン・トランスレーション』は好き。
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