crn

ソニータのcrnのレビュー・感想・評価

ソニータ(2015年製作の映画)
4.5
ソニータの表現力と行動力に圧倒される。児童婚を拒否しながらも、貧困と因習の下に生きる家族への愛情や配慮があるがゆえの葛藤もあり、その当事者性が彼女のラップに力を与えていた。誰が何をどこまで内面化しているのか、選択できる状況がないために、本人たちも分からないことがあるのだろう。マガミ監督への信頼が増すにつれて笑顔が大きくなり、スカーフを脱ぐソニータの変化からは、他者の支援を得ながら自分自身で未来を選択していく聡明な女性が見えた。

観察の対象に介入してしまうドキュメンタリー作品。見ようによっては、ソニータとマガミ監督のふたりが対象になったことで、現状を変えることができると示した作品。アフガン映画はひたすら暗く重くなりやすい中、監督の介入の決定がこの作品に明るさを与え鑑賞者を増やしたのなら、別のかたちの成功だと思ってしまう。なにしろソニータのような女の子たちが、今現在も沢山いるのだから。

約3年ぶりに鑑賞。ソニータのYouTubeチャネルによると、2021年のタリバン政権樹立により、反タリバンを歌うソニータの家族にも危険が及びそうだったとのこと。自身はアメリカで学んでいても、家族と祖国がまだ安全でないことに今もソニータは悲しんでいる。
crn

crn