ノラネコの呑んで観るシネマ

ソニータのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ソニータ(2015年製作の映画)
4.5
イランで難民生活を送る、15歳のアフガニスタン人の少女・ソニータを追った秀作ドキュメンタリー映画。
彼女の夢は、世界にアフガン女性の声を届けるラッパーになること。
男性からの持参金目当てで、結婚という名の人身売買が横行する母国では、女性に声を上げるチャンスは殆どない。
ところが、そんな彼女自身に結婚話が持ち上がる。
もしもアフガンに連れ戻されれば、夢を叶えるチャンスは潰える。
豊かな才能を持ちながら、抑圧された世界に生きる少女はいかにして過酷な現実に抗うのか。
映画の終盤は、自らの夢と家族愛との間で悩むソニータにどっぷり感情移入。
15歳から18歳までの3年間で、ソニータはあどけなさを残した少女から、どんどんと大人の女性の顔に変わってゆく。
それがまた家族の「嫁に行け」圧力を高めるようでハラハラ。
彼女には大活躍してもらって、本当の意味で幸せになってもらいたいよ。
しかし、ソニータは音楽の才能があり、難民として家族と離れていたのも結果的に幸運となった。
声を出すことも出来ない、大多数の少女たちの想いが、代弁者として彼女の背中を押してるのかもね。