回想シーンでご飯3杯いける

最後の追跡の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

最後の追跡(2016年製作の映画)
4.0
カンヌ国際映画祭で上映された以外に劇場公開は無く、Netflixのみの公開であったにも関わらず、アカデミー賞4部門でノミネートされた事で話題になった作品。

テキサスの田舎町で母親が残した借金を返済すべく、小額の銀行強盗を繰り返す中年の兄弟と、彼らを追うベテラン保安官2人組の姿を描いたクライムサスペンスで、2組のバディを対にした人間模様の描き方が実に味わい深い。

ドラマの根底にあるのは、田舎町で続く不況。人影も疎らな町で繰り広げられる追跡劇は、決して派手な物ではなく、悲しくなるぐらい地味。それでも4人の登場人物にとっては、生きていく為に必要な事であり、プライドを守る為の戦いなのだ。

そんな小さくて、でも重厚なドラマの対比として映し出されるのが、テキサスの広大な土地と大きな青い空。そして乾いたロックンロール。映像と音の渋みに酔いしれる、実に魅力的な作品。西部劇風のサムネイル画像も粋だ。