おん

最後の追跡のおんのレビュー・感想・評価

最後の追跡(2016年製作の映画)
4.5
火の中、水の中

銀行強盗を働くハワード兄弟。
粗暴な性格で10年間刑期に服していた兄のトビーと、家族想いの優しい弟トビー。
そして彼らを追う警察のマーカスとアルベルト。
何故彼らが協力して銀行強盗を働くようになったのか?



ララランドとムーンライトが話題をかっさらっていった2017年のオスカー戦線の中、惜しくも受賞とはいかなかったけど4部門(作品賞、助演男優賞、脚本賞、編集賞)でノミネートされていた本作。
日本ではネフリ限定ということで、今後のRomaとかネフリ限定作品が見たいこともあり、入会しちゃいました。

・感想
結構期待値高めていったら余裕でその上いかれてビビりました。
個人的にはあまり好きじゃないジャンルだと思ってた中、これは驚き。
後々見るとボーダーライン、本作、ウィンドリバーの三部作のようで脚本の完成度の高さに納得。

クリスパインとベンフォスターの兄弟愛が本当にリアルで美しくて、容姿は全然似てなくても絆の描き方がすごく綺麗だった。
どうしようもない兄なのに、見捨てることが出来ないあたりや、二人が分かれるシーンの憎めないセリフの応酬が良かった。

・印象に残った点
@主演アンサンブルの演技
ジェフブリッジスはトゥルーグリットでも思ったけど、西部劇似合いすぎだし、もはやこういう人にしか見えない。
兄役のベンフォスターもクリスパインも凄く良かったです。

@脚本の完成度
いやほんとによく出来てた。
特にお気に入りは、銀行への借金返済のため、銀行強盗していることを正当化しているトビーの人物像描写。

あともう一つは、最後のトビーとマーカスが会話するシーン。
強盗チーム・捜索チーム共に二人で行動しつつ片方を失った、ある意味似た境遇でトビーの「楽になりたい」に対してのマーカスのセリフが凄く心に残った。
アメリカの賃金格差に関しても、触れられており、そこも凄く心に残ったシーンでした。

ヒューマンドラマ、家族愛のテーマが好きな人にはオススメです。
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