きんゐかうし卿

呪怨館のきんゐかうし卿のネタバレレビュー・内容・結末

呪怨館(2014年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

 

自宅にて鑑賞。日本劇場未公開作で原題"Haunt"。某作その儘の邦題だが、スタッフが微かに掠ってるだけの類似作で関連は無い。主人公のファミリーネーム“アッシャー”が示す通り幽霊屋敷もので、タイトルコール後、全てのゴースト・ストーリーは家から始まるとのナレーション。このテのには珍しく冬が舞台。中盤、手巻きの交信機が出て来てから急展開するかと思いきや、三歩進んで二歩下がるかの如く何故そうなると首を傾げる展開が目に余る(一例挙げると、イチャつく二人を背中越しに見守る幽霊とはまるでコメディだ)。40/100点。

・画面に写る登場人物達も知りえないカットバックやインサートショットが多用され、一定のリズムと雰囲気作りを担っているが、説明的過ぎる場合も少なからず存在し、恐怖度は進行と共に下がる一方である。どこかで見掛けた様なシーンも散見出来、全篇で怖がらせようとする意図やサービス精神旺盛なのは伝わるが、空回りを繰り返すのみでお粗末にしか思えない。ただ箱に収まった(アメリカ陸軍通信部隊周波数計"BC-221-AK"を改良したものらしい)交信機はいかにもそれっぽく、他にもタングステン灯等、ガジェット類は悪くない。

・どう考えても“サム”のL.リベラトが変な存在。幾ら虐待を受けていたとしても、一度出逢っただけの引っ越し間もないご近所さんの寝床に夜這いの如く潜り込んだり、朝からシャワーを浴び、我が物顔で然程親しくもない隣家をのし歩き居付く様(年頃とは云え、問題視しないハウスホストの両親も寛大過ぎる)は如何なものか。機械を見付けたのも彼女だし、どんどん噺を妙な方向に導き、ラストに至る迄、碌な事しない正にトラブルメーカー。少々勇み足気味に展開を急ぎ過ぎた煩雑で未整理な脚本に問題有りか。

・主人公H.ギルバートソン演じる“エヴァン・アッシャー”を除き、女性が物語の鍵を握り、動かす。特に女系一家の大黒柱“アラン・アッシャー”のB.ウィマーは刺身のつま状態で影が薄い。未亡人“ジャネット・モレロ”のJ.ウィーヴァーが少ない出番乍ら、狂気を孕んだ演技が印象的だった。

・因果律を描きたかったのかもしれないが、一番報いを受けそうなJ.ウィーヴァーの“ジャネット・モレロ”が無事なのは疑問だし、幾ら赤子だったとは云え、L.リベラトの“サム”との再会もすんなり流されてしまう。そして顔は写らないものの虐待していたアル中の“サムの父”とは寝取られた戸籍上だけの血の繋がらない間柄なのか等、シナリオが破綻している様に見受けられる。

・エンドクレジット前のタイトルコールが『インシディアス』シリーズ('10・'13・'15・'18)っぽい表示法とSEだと思ったら、シリーズで製作総指揮を務めるS.シュナイダーがアンクレジット乍ら、本作の製作として関係していた。S.シュナイダーと云えば『パラノーマル・アクティビティ』シリーズ('07・'10・'12・'14・'15・何故か『3('11)』のみ無関係)や『ヴィジット('15)』、『ブレア・ウィッチ('16)』他、ホラー一筋に30作以上で製作・製作総指揮を手掛けた強者である。

・ロケは'02年冬季オリンピックが開催された米国ユタ州ソルトレイクシティで行われた。撮影に入る前段階で冬の設定は意図していなかったが、クランクイン直後からたまたま降雪が続き、現場は雪景色となってしまった。これに対し、製作陣は撮影続行を決断し、冬が舞台となったと云う。

・鑑賞日:2018年2月16日