まさか、まさかの恋の話。で、まさか、まさかの面白さ(笑)
次から次へと宗教にハマる母親のもとに生まれたアイ。自らも宗教団体のなかで育つ(アナンダと呼ばれる。釈迦の弟子ね。こういうセンス、大好き 笑)。でも、宗教団体は解散。普通の社会に放り出される。そこで出会ったリョウタ。リョウタはアイに惹かれる。リョウタが見守るなか、アイは不器用に「獣道」を歩んでいく…
リョウタがアイと再会するたびに、アイは姿を変えている。それというのも、アイは常に「居場所」を探し求めていて、その「居場所」に合わせようと必死だからで。
「居場所」というか「家族」というか。それはアイが家族の愛に満たされずに育ったこともあるが、子供のころに感じた宗教団体の居心地を忘れられずにいることもあって。
そして居場所を探し求めるのはアイだけでなく、結局はみんなに共通することであって。で、そのためにみんな「獣道」に突き進む。
でも、ユラユラしているように見えて、アイはこだわりを持っている。それが宗教団体のラビの言葉…「孤独になるな、孤高であれ」…
いやぁ、意外に深い。そして何といっても哀しい。
この監督は「ゲス」だけでなく、「ピュア」も描くんだと。そして、キャスティングも素晴らしい。とくにアイを演じた伊藤沙莉。ヌードも披露し、根性を感じた。絶対に忘れられない。
で、脱出したくなる地方都市の雰囲気もよく描かれていた。『サウダーヂ』を思い出した。