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獣道のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

獣道(2017年製作の映画)
4.0
とある地方都市で生まれた少女・愛衣(伊藤沙莉)は、いつも母の愛に飢えていた。
そんなある日、信仰ジャンキーの母親によって宗教施設に送られ7年もの間世間から隔離されて生活をすることになる。
自分の居場所を探そうと教祖や信者たちと疑似家族を作り上げていく愛衣だったが教団が警察に摘発され保護されてしまう。
すでに違う宗教にはまっていた母の家にも、初めて通う中学校にも居場所はなかった。
愛衣は、社会からドロップアウトして万引きと生活保護で生きるヤンキー一家やサラリーマン家庭などを転々として居場所を必死に探すのであった。
愛衣の唯一の理解者であり、彼女に恋をする少年・亮太(須賀健太)もまた居場所を探す不良少年であった。
亮太は半グレたちの世界で居場所を見つけ、愛衣は風俗の世界にまで身を落とす。やがて二人の純情は地方都市というジャングルに飲み込まれていく…。
宗教マニア、ヤンキー、ヤクザ、半グレ、風俗、AV。地方在住者の弱肉強食な状況や閉塞感、縦と横の繋がりが物を言う世界、居場所を探しながらも飲み込まれてしまう若者の群像劇を、宗教マニアの母親から愛されずその時その時の居場所で求められる役割を果たすことで生きてきた愛衣や愛衣の理解者で半グレの世界で居場所を得ながら田舎を抜け出そうとする亮太たちを通して描いている。
地方では、親族関係を把握していないとトラブルの元など地方在住者のあるある、上下関係からなかなか抜け出せない閉塞感が、リアルに描かれているが、「シミズ」ほど突き抜けていないのが惜しい。
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