しゆ

ブレードランナー 2049のしゆのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.2
前作から35年ぶりの続編。リメイクでもなくこんなに期間が空いての新作は映画史で最も長い。ただ、公開後にも何度も追加の撮り直しをしたり再編集を重ねた影響で様々なバージョンが世に出てることから、今回製作総指揮として携わったリドリー・スコットの思い入れは強かったと推測できるから当然の帰結ともいえる。
この前に2019年〜49年までの前日譚3本を予習したけど、本作を鑑賞後にも時系列で段階を踏んで観ていくのもどちらも良い。その前2作はリドリー・スコットの息子が監督が手掛けてたけど2049は違う監督なのかと思って調べたら『メッセージ』や『DUNE』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督でせっかくの大作を台無しにしないと分かって安心して観られた。それらの作品が映像美に特化してることで有名だから本作も彼らしさが発揮されてた。シリーズの特徴上、派手なアクションは少なかったり静かに展開してくテイストが引き継がれてたところにリスペクトを感じられたし彼の得意とする世界観とうまく噛み合ったんだろうな。
アメリカ国外の配給がソニピクだから劇中のスクリーンに30年後も生き延びてやるぞと言わんばかりのロゴが大きく投影されるのは笑った。前作は編集に画質向上の処理がされてたとはいえやはりCGと実写の区別がついてしまうくらいには技術の劣りを感じてしまったけど、2017年の進化した映像技術のおかげで蘇ってハイテクなガジェットもかなり現実世界に溶け込んでたのが良かった。
K(ジョー)は物語が進むにつれてデッカードとレイチェルの子どもが段々視聴者とともに確信に変わっていくけどまさかのミスリード。でも続編の主人公が実は前作の主人公の息子なんて安直な仕上がりじゃないのは好感が持てたし、革命軍のリーダーの「誰しも自分がその子だと思いたい」ってセリフがあまりに切ないし惹きつけられる。沈没しゆく車(?)での揉み合いは緊張感抜群だったけど出番遅めのハリソン・フォードのアクションはさすがに年齢を感じてしまった。
ホログラムのジョイの役者さんが綺麗だなと思ってたら『007 ノータイムトゥダイ』で気になってたアナ・デ・アルマスだった。本当に綺麗。前作は(おそらく)人間とレプリカントの情愛が大きなテーマのひとつだったけど今回はAIとレプリカント。ありえない未来ではないのが魅力的。
続編のあるようでここでも完結できる幕引きだったけど興行収入で見れば微妙らしくおまけにヴィルヌーヴ監督は来年に『DUNE』の続編も控えてるからしばらくは映像化されなさそう。一方でスコット監督は本作とは別の『ブレードランナー』の続編を構想してるようだから楽しみ。
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