鷲尾翼

ブレードランナー 2049の鷲尾翼のレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#681

【まとめ】
* 強烈なサイバーパンクの世界観
* 過去を追い続ける差別社会
* 最後まで染みる大人の嗜好品

本作は1982年に公開された名作「ブレードランナー」から30年後を描いた続編。

前作の世界観は、映画史で語り継がれる画期的なSF映画の世界観を生み出したが、本作では音から伝わるぐらい強烈なサイバーパンクが特徴的。描くものも大人向けで、セクシャルで、バイオレンス。

本作の物語のテーマは「過去」
失った過去を、近未来の技術や陰謀で再生しようとしていく。後半から、ハリソン・フォード演じる前作の主人公・デッカードも登場するが、そこから過去の話も多く、オールディーな雰囲気も味わえる。

また、ロボットと人間の間に生まれる澱んだ差別社会の空気感が、ライアン・ゴズリング演じる主人公の孤独にも繋がる。

余談だが、SFの世界観について。
本作の世界観は、前作に負けている。80年代に生み出した画期的なSFの世界観だが、今の技術で再現すると、急激に安く見える。その原因は、今の時代が近未来に近づいてしまったからだと思う。これからの時代が生み出す「近未来」に浪漫と、夢と、希望が詰まっていたら、時代が動くのだろう。

本作は、2時間50分近くとかなり長尺な作品だが、大人の深味を味わう嗜好品のような作品だ。あのラストは、グッと染みる。

ちなみに、前作から30年の間に起こった前日譚を3つのショートムービーで描き、それをYouTubeで見れるので、おすすめ。むしろ。こっちが好き。中でも「カウボーイビバップ」などを手がけた渡辺信一郎監督の作品が、おすすめなので、ぜひ。
鷲尾翼

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