Maki

ブレードランナー 2049のMakiのネタバレレビュー・内容・結末

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

初日1回目:IMAX3D
翌日2回目:4DX3D
翌週3回目:TCX/Dolby Atmos
映像音楽役者すべて極上。
 
前作は猥雑と詩情と科学と美学を魔法のように融合した映画。
人間ではない者たちの哀切=特にロイ・バッティの独白が余韻を残した。

今作は世界の満ち引き=導きに身を委ねられるかどうかで評価真っ二つ。私は芸術的な色彩と陰影 圧倒的な轟音と静寂に吸い込まれそうだった。

「自分の記憶が自分のものじゃないなら 存在なんてまるで…」
 
人間ではない者たちが人間よりも人間らしく
悩み足掻き嘆き傷つき愛されたいと願う。愛そうとする。
ならば心とは?命とは?魂とは?
ならば涙とは?
 
求めて隠れたデッカードとレイチェル。
求めて探したK/ジョーとジョイ。
前作と今作の異なりに 
二人の定めの繋がりに胸が熱くなる。
 
続編を望んだわけではない。
答えを欲したわけでもない。
だがまぎれもなく これは
【ブレードランナー】の「魂を受け継いだ物語」だ。
 

 
 
 
【ここから雑感メモ】
【ネタバレ満載です】
 
 
 
 
・ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。ロジャー・ディーキンス撮影。デニス・ガスナーのプロダクション・デザイン。ハンス・ジマー音楽。この凶悪な組み合わせったら!

・ライアン・ゴズリング。記憶に慄く表情。遂に堪えきれずの激昂。ジョイとの抱擁。雪に倒れ薄れる意識のなか涙と微笑み
・己を特別な存在と錯覚してから感じた雪。
 己が特別な存在ではないと確信後それでもやり遂げてから感じた雪の違い
・アナ・デ・アルマスのジョイ…可愛いよジョイ…うちにも欲しい。ジョーとジョイの名前が切ない。巨大ホログラムの全裸ジョイもご自身で演じているらしい
・(Twitterで指摘されている方がいた)ジョイの起動音「ピーターと狼」。娼婦マリエットの衣装がディズニー版キャラを模す意味は?
 https://www.youtube.com/watch?v=DXka6ZD4tTc
 
・サッパー役バティスタは前日譚2048から渋い。Kと行動を共にする期待があっさり消えて驚く。残念だけど重要な役割
・ガフ。エドワード・ジェームズ・オルモス好きなの。折り紙の羊♪
・孤児院のコットン。ウォーキング・デッドで人格者を演じるレニー・ジェームズが小悪人ぽくておかしい
・創造主ウォレス。ジャレッド・レトの怪演なかなか。終盤スっと消えちゃうのが惜しい。劇中Kとウォレスは遭遇しないがKを創ったのはウォレス?
・ウォレスが「Happy birthday」と告げたあと切り裂く女性レプリカントもよかった。女優さんどなた?
 
・街やスピナーやブラスターなどテクノロジーに劇的な進化がない。富裕層はオフワールドに移住して貧困層のみ残る地球では遅滞気味か?ブラックアウト2022の影響か?ウォレス社の制御関与?

・デッカード!彼がレイチェルの名を口にするのはKに答えた2回だけ。その重み
・サプライズ・レイチェル。ボディダブル&CGで本家ショーン・ヤングも演技協力と知って嬉しい。でも骨になってるわすぐ撃ち殺すわ散々。人間ではない者=モノという非情。過去の再現は幻想に過ぎない。

・LAPDもウォレス社も反乱組織も女性が主導権を握っているのは意図的。男性はなんだか地味で面倒な役回りが目立つ。ただしラヴは変わり種。彼女は天使=特別と自負したが天使=神の従属者として操られていた女性なのよね。流す涙はバグ?倒すべきKにキスをしたのはなぜ?最期なにを観て感じていたの?

・ジョーがラヴを苦しませて殺すのは 奪われたジョイの復讐。ジョーにとってジョイは幻影でも“特別”だったから
・Kが必死にデッカードと娘を逢わせようとしたのは…一度は父と信じた男への 一度は人間と信じた己の消したくない激情…きっとそう
 
・ロイ・バッティのような強烈で象徴的な敵役は居ない。居ないというかロイ・バッティを超えるのは誰が撮っても誰が演じても無理だろう。ラストバトルを含めアクションや格闘のユニークさも前作に遥か及ばない。残念無念というよりも「そうだよね」と腑に落ちた。それを踏まえても2049は焼き直しではない。新たな物語として魅力的だ。
・愛し愛されたがラヴの足で潰されるジョイ
 愛し愛されずにジョーの手で殺されるラヴ
 人間よりも人間らしい感情を持つに至るも
 レプリカントとしてしずかに眼を閉じるK
 30年を経て初めて娘を見つめるデッカード
 2049に描かれるのは彼らの新しい物語だ
 
書き過ぎごめんなさい
でも全然書き足りない

Maki

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