モウドクウサギ

ブレードランナー 2049のモウドクウサギのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0
タイレル社すら倒産した未来において、SONYやプジョーが残っているという異常事態な続編であるが、監督作はいずれも怪作というドゥニ・ヴィルヌーヴのため全く心配なく鑑賞できた。説明不要なSFの金字塔、ブレードランナーにおける映像の見せ方や、人とレプリカントの境界が崩れていくコンセプトを踏襲しつつ、他のアンドロイドSFとは一線を画す。エイリアン:コヴェナントでは、デヴィッドが為しえなかった一つのとある臨界点を主軸に置くことで、さらに人とアンドロイドを分かつ境界を突き崩そうとしているのは、さすがヴィルヌーヴとしか言いようがない。過去作ファンへのこの上ないサービスを、これ見よがしになり過ぎず挿入する手腕にも唸るほかなく、熱狂的なファンですら絶賛するという事態を巻き起こしているのすら至極当然と思えてしまうほどだ。一見すると難解なテーマ性を持つが、ビジュアルの力も手伝って観客を引き込む力を兼ね備えた大衆カルトムービーに仕上がった。一方で、独立した作品として見ると、過去作を知らない人にとっては160分超の上映時間はやや鈍重に感じてしまうかもしれない。
尚、コカ・コーラは安泰だろう。なんとなく。