僕はこんな映像が観たかった。
ほとんど隙がない映像表現に終始度肝を抜かれつつも随所にしっかりとあの「ブレードランナー」のサイバーパンク感が現れていて震えるくらい良かった。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が加えた重厚さによって、初代ブレードランナー、AKIRA、攻殻機動隊、マトリックス等、幾多のSF作品で使い古されてきた感もあったサイバーパンクSF的表現を、また一つ更新しているように思う。
テーマは前作から一貫して「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」だが、前作が人間を人間たらしめるものは何か?ということであったのに対して、本作はレプリカント自身が主人公であることで、自分を自分たらしめるものは何か?となり、問いもまた一歩進んでいる。AIに対して中身が空っぽだと非難することは、結局自分自身にも返ってくるのだ。
興業的にはあまり奮っていないようだけれど、作品としてはずっと重苦しくポップ度が薄すぎるので仕方がない。でも前作のように、徐々に評価されていくのではないかと信じている。
SONY製のホログラム音楽再生機(フランク・シナトラが出てきたやつ)ほしいな…。