これだけ作品の世界観にどっぷりと
浸れる映画も珍しい。
カメラワーク、照明、美術、小道具、音楽とヴィルヌーヴとリドリーの得意とする
分野で才能が炸裂している。
3時間近くある上映時間に観る前は
多少身構えていたが、長さを全く感じなかった。それだけ本作に没頭してた。
今や近未来ものの教科書のような存在まで昇華した前作。確かにビジュアル的な面での衝撃は凄かった。しかし、映画会社の勝手な改ざんや編集もあり、幾つものバージョンが存在する結果、今日まで色々と論争されるぐらい観る者を惑わせる映画となっていた。
その結果、興行収入は惨敗。そのまま闇に葬られててもおかしくない作品だったのが時間と共に再評価されはじめる。
で、この2049。前作から30年後の世界をヴィルヌーヴ監督、ゴズリング主演で続編製作!と聞いた時は、なんですってーっ!と驚いた(笑)
自分の中では前作は、カルト映画、にちかいものがある。製作されるのは嬉しいが、果たして需要があるのかどうか・・・
エイリアン・コヴェナントでもちょっと、ヤラかした感のあるリドリー監督が過去の偉大な功績に泥を塗らないかどうか・・
とかの、一抹の不安はあった。
現に本国では撃沈した2049・・
いやしかし!ヴィルヌーヴは素晴らしい仕事をした。前作から30年という微妙な時代設定のヴィジュアルと独特の間を持たせるストーリー運びの妙を上手く合致させ、オープニングからブレードランナーの世界観に没入させる力量を発揮している。
お馴染みの、ヴィィィィィーヴゥゥーみたいなノイジーな音楽もマッチしているし
(笑)
一般大衆にはそっぽ向かれても批評家筋からは高評価だったのはヴィルヌーヴの功績だろう。
ストーリー的にも前作と比べても難解な部分はなく、結構ガッツリ、謎を解明してくれているし、前作へのリスペクトもしっかり盛り込んで敬意を表しているところも好感が持てた。
しかし、前作からのファン、つまりブレードランナーマニアからはさすが、ヴィルヌーヴ!という評価を得られても、映画ファン、一般大衆まで浸透させる事が出来なかったのは残念。
しかし本作を機に1人でも多く、前作を観直すきっかけとなり、この二本をセットで鑑賞しようと思ってくれるよう願いたい。