ジュリー

ブレードランナー 2049のジュリーのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
4.0

2022年、ネクサス6型レプリカントは寿命を迎えて絶滅しました。タイレル社はそれを受けて、もっと寿命の長いレプリカントを製造します。それがネクサス8。レプリカントの寿命が伸びたせいか、人間至上主義がはびこり、レプリカント狩りが起きるほどになります。「スキンジョブ(人間もどき)」という差別用語もうまれます。

そして複数のレプリカントによって「大停電」が引き起こされます。彼らは、政府のデータを破壊する事によって、人間になろうとしていたのです。本作では、レプリカントの心情が色濃く描かれています。

人類にあって彼らにはない、はずだった生殖機能。「その子供」の存在はレプリカントが人類と同等の生物である事を証明するものになります。人類至上主義の考えをもつ人間にとって大変なる脅威で、この事態を一刻も早く終息したい、となるわけです。

Kと私たちが抱く仮説は、Kはデッカードとレイチェルの息子なのか?彼自身もしやとは思うのですが信じられません。今まで、自分がレプリカントであるという自覚を持って生きて来たわけですから、そう簡単に受け入れられない葛藤があります。

アナ・ステリン(レプリカントの子供)の存在を隠し通していたレジスタンス・リーダーはKに「娘が本物の子供で、お前はコピーのレプリカントだ」と告げます。 残酷な真実を突きつけられたKは絶望します。葛藤して、何者であるか受入れたのに、しかしリーダーは「自分だと思った?ここの誰しもが、自分だといいと思うの」と彼に言うのです。Kだけでなく全てのレプリカントが、魂のある人間になりたかったのです。

レプリカントと人間の違いは何なのか?
レプリカントやホログラム(人工知能)が、死に直面して生を求めるところが印象的です。私たちは死を前にしてよく考えてこそ、よく生きる事につながるのでしょうか?

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の長くて難しい映画でした。こうして振り返ってみて初めて理解が進みました。
ジュリー

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