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ブレードランナー 2049のkarmapoliceのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
3.8
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督2017年作品。ライアン・ゴズリング主演。原作はフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」


前作1982年作品のブレードランナーは別格に好きな作品。よく映画の中の乗り物や服装やインテリアなどのディティールへの拘りや細かな凝った作り込みを指して「世界観」という言葉が使われる(一般に使われる世界観とは宗教や思想や哲学や美意識など人の内面を指している事が多いかも知れない)。この映画ほど「世界観」という言葉が多用される作品も無いのではなかろうか。

ブレードランナーの世界観とは街や都市そのものであり、全ての空間デザインが優れていた事が大きいと思う。観た事もないような奥行と広がりのある空間。街並みやインテリアだけでなく酸性雨や煙や靄そこに時折差し込む光まで詳細に描かれていて、まるで生きた空間だ。画面の端々までキラキラと光と影の演出の行き渡った映像とでも言えばいいだろうか。まるでリアルな世界そのものという印象を持ってしまう程だと思う。そこに静寂なハードボイルドのような超一級のSFドラマが乗って完璧な「世界観」となったのでは・・・・。

そんな映画なんて2度と撮れる訳がない!というか続編なんて観たいと思っていなかったし(苦笑)




本作ブレードランナー 2049は始まって20~30分程で前作ほどの蠢くようなキメ細かな空間デザインが売りではないことが分かる。しかし寧ろ画面を眠たくしてメリハリを殺すことで独自の世界観を作り、けっこう上手く前作をイメージさせていたのは凄く良かったと思う。赤い砂漠や雪景色もいいね。何処となくタルコフスキーをオマージュしているのもいいし・・・・。

この作品の(も)ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の演出は芸術性高いかも知れない。あとはアナ・デ・アルマス扮するホログラムAIが素敵過ぎて(笑)もう私的にはブレードランナーの続編はこれだけ揃えば充分だろうか。また前作も観たくなった(笑)
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