ぎー

ブレードランナー 2049のぎーのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
3.5
「お前は奇跡を見たことが一度もないんだ」
ヴィルヌーヴ特集1作品目。
『ブレードランナー』の続編。

35年ぶりの続編だけど、『ブレードランナー』の世界観を完全に踏襲。
原作のファンにとってはたまらない映画だと思う。
自分は原作はちょっとドンヨリし過ぎててハマらなかったけど、本作は映像が凄すぎて圧倒された!

主人公のブレードランナーKが逃亡レプリカントのサッパーを解任するところからこの映画は始まる。
当たり前に観客は胸糞が悪い。
よくできていると思った。
見る人は人間とレプリカントの垣根が一瞬で曖昧になってしまう!
それにしてもKの人間らしさには驚かされる。
新型レプリカントは命令に従順なんじゃなかったっけ?
その設定のブレが正直最後まで気になったな。

KはAIのジョイが恋人。
ジョイは完璧な彼女の設定なので、Kはどんどんハマっていく。
途中の擬似肉体関係も含めて、『her』と同じような世界観を感じた。
未来はこんな感じになるんだろうな。
そしてジョイは確かに魅力的だった!

物語の本筋は、サッパーを解任した際に出産を経験したと思われるレプリカントの遺骨が見つかったことに始まる。
Kの上司ジョシは社会混乱を防ぐために子供の抹殺を命令し、レプリカント製造会社の社長ウォレスは繁殖能力を入手すべく、秘書のラヴに子供の奪取を命じる。
前作でタイレルの秘書レイチェルがヒロインになったので同じ展開かと思いきや全然違った。
そこはある意味期待を裏切っていて、よく出来ていたと思う。

Kの擬似記憶の内容と出来事が辻褄があっていたり、実際に孤児院でキーアイテムとなる木馬を見つけたりするので、僕らもKがその子供なのではないかと思ってしまう。
でも、その根元にはKが人間らし過ぎる振る舞いをするところがある。
どうしてそう振る舞うのか、嘘をつけたり命令に従わなかったり出来るのか、最後まで説明がなく若干の消化不良が残った。
続編が出るのかな?
ラストまで見て、記憶作家のステリン博士の発言の意味と、どうしてKが激昂したのかが腑に落ちてよく出来た映画だとは思ったけど。

手がかりを頼りにラスベガスを訪れ、デッカードと出会う場面は、大したファンでもない自分でも興奮した。
やっぱハリソン・フォードはオーラが凄いね!

どうしてラヴがKにトドメを刺さなかったのかとか、どうして地球でデッカードを拷問しなかったのかとか、細かい突っ込みどころはあるけど。
でも、35年も前の映画の世界観を崩さずに、現代の技術をフル活用して魅力的なSF映画にしたのは凄い!
マッドマックスと同じパターンにはなれなかったけど。

1番印象に残っているシーンは、冒頭Kがサッパーを解任する場面。
どれだけお金をかけたか分からないけど、一瞬で世界中の観客がのめり込むのに十分な迫力、演出、世界観の露出だった。

やっぱり長過ぎる。
そして、シリーズの世界観としてドンヨリし過ぎる。
『ブレードランナー』ファンにはまたらないと思うけど。。

◆備忘ストーリー
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ブレードランナー_2049
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