ノラネコの呑んで観るシネマ

ワンダーストラックのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ワンダーストラック(2017年製作の映画)
4.3
これ好きなやつや。
1977年に母を亡くした少年と、1927年に母を探す聾唖の少女が、共にニューヨークを目指す。
方や70年代風のカラー、方やモノクロサイレント映画風に語られる二つの物語は、一見無関係に進むのだが、やがてどちらも自然史博物館へと導かれる。
タイトルの「ワンダーストラック」とは博物館の本で「大変な驚き」とか「大いなる目覚め」の意味。
映画に仕込まれた、いくつもの二重性の仕掛けが楽しい。
天体のスターと銀幕のスター。
「ヴァレリアン」にも使われていた、ボウイの「スペース・オデッセイ」と「ツァラトゥストラはかく語りき」。
原作はブライアン・セルズニック。
「ヒューゴの不思議な発明」ほど前面に出してはいないが、映画史を隠し味に、歴史の記憶を宿した博物館が二つの物語を結びつける。
ニューヨークという、巨大な街が持つマクロな記憶が、個人のミクロな記憶と素敵に重なり合うのだ。
一見脈略のない沢山のものが、次第に意味を持ってくる。
色々な記憶が集まる、博物館や博覧会好きにはたまらない。
「ヒューゴ」や「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」が好きな人にオススメ。
ブログ記事:
http://noraneko22.blog29.fc2.com/blog-entry-1127.html