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ワンダーストラックのneroのレビュー・感想・評価

ワンダーストラック(2017年製作の映画)
3.0
高校1年の春だった。一人で映画館へ行ったのはその時が最初だったと思う。プログラムは「2001年宇宙の旅」。満席だった。休憩を挟んで2時間21分、壁際に立ちっぱなしで、ただそのイメージの強烈さに惹きつけられていた。
翌年、デビッドボウイがSpace Oddityをリリースする。雑誌で「2001: A Space Odyssey」からインスパイアされたと知り、しばらくヘビロテチューンとなった。その後大学時代にはデオダートのツァラトストラが大ヒットした。より宇宙感を感じるフュージョンにアレンジされたこちらも良く聴いた。もう50年前になるあの映画へと繋がる想い出だ。

ボウイがいなくなった為もあるのだろうが、最近Space Oddityを耳にすることが何故か多い。直前には「ヴァレリアン」で、そして50年という時間を隔てた二人を描く本作品もそのひとつ。自分にとっては特別なこの2曲が印象的に使われていた。
トッド・ヘインズって昔「ベルベット・ゴールドマイン」を撮ってるんだね。それゆえのボウイなのだろうか?

コミュニケーションを阻害された2つの魂が時を経てめぐりあう。しかもキーになるのは時を封じ込めた博物館と古本屋。設定は最高にロマンティックなのに、映画としての仕上がりは正直いまひとつ。音楽のせいもあって時空ファンタジー的展開を期待してしまったからだろうか、なんとももどかしさが募ってしまう。
1927年と1977年という二つの時代のニューヨークを再現した映像は素晴らしく、モノクロとカラーで時空の隔絶感を表現しているのも効いている。せめて少年少女の時を超えた触れ合いを織り込めなかったのだろうか。原作は読んだこと無いのでトッド・ヘインズ監督がどう料理したのかは判断できないが、「HUGO」はあれほど素晴らしかったのになあ・・・

実際に聾者だという主役の少女の存在感が素晴らしかった。
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