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ワンダーストラックのdojiのレビュー・感想・評価

ワンダーストラック(2017年製作の映画)
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聴覚を失ってしまう少年の過程と、トーキー映画登場前の時代をサイレントで映すモノクロのシークエンス、そのあまりにクラシック映画的な演出の組み合わせが、トッド・ヘインズの演出力の高さを物語っていると思う。

エンディングへの布石をパンくずのように散りばめる様もさりげなくて、ジオラマのシーンへの伏線としての街の撮り方だとか、音の配置に至るまでどこもかしこも計算されている。さらにその精巧さが映画の語り自体を分かりやすいものにしていて、たぶんトッド・ヘインズのいままでの映画の中でいちばん観やすい映画なんじゃないかな。

1977年のニューヨークの停電といえば、最近だと「ゲット・ダウン」でも描かれていたけれど、音楽の使い方も含めて時代の空気の出し方もいい按配だったと思う。なにより停電のあとに見上げる空、なんてベタなんだと思いながらちゃっかり感動してしまって、やっぱりうまいなあと。