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ワンダーストラックのkaoruiのレビュー・感想・評価

ワンダーストラック(2017年製作の映画)
4.0
少女のシーンが飛び抜けて美しい。
モノクロで、トーキー前夜の甘く懐かしくそして切ない温度感を再現する。
劇中に映画館が登場するけれど、耳の聞こえない彼女の孤独を優しく埋めてくれる場所だ。サイレント映画は彼女の世界だ。トーキー作品登場の貼り紙は彼女にとって唯一の場所への扉が閉じてしまう残酷な宣告書だ。佇む少女。それをきっかけに母親に逢いに行くことを決意させる一連のシーケンスはとても哀しい。

一方少年はファンクでサイケな時代を彷徨う。若造だったボウイがジギースターダストを歌う時代だ。
博物館、ジオラマなど学芸的文化の香りに包まれる迷宮を、混じり合うことのない時間の中、二人は彷徨う。隕石を通してシンクロし、それは二人の見上げる夜空に流れる。
真っ暗な画面にスターダストが流れるのだ。
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