maverick

マレフィセント2のmaverickのレビュー・感想・評価

マレフィセント2(2019年製作の映画)
4.3
5年ぶりの続編。
マレフィセントを主人公とした、もう一つの『眠れる森の美女』の物語。

アンジェリーナ・ジョリーが演じるマレフィセントがハマリ役。貫禄たっぷりで、強さと愛情とを兼ねた孤高の女王の表現が見事。かたや愛娘オーロラが結婚となり、まるで娘を取られる父親のごとく「絶対に許さないぞ!」という態度を取ってしまうも、愛するオーロラにキラキラした目で懇願されちゃうと全てを許しちゃう姿が何とも可愛らしい(笑)。世界一のツンデレ女王。もうマレフィセントじゃなくて、ツンデレ女王という名前でもよいのでは?(笑)。相手の両親に対峙する時のために必死で笑顔を作る練習をしたり、健気で可愛い彼女にギャップ萌えする人が大勢生まれそうだ。そんな笑える要素もありながら、強大で恐ろしい魔女という表現もきちんとされている。彼女の姿に恐れおののく民衆の姿は説得力抜群。ダークなイメージもしっかり見せるあたりが流石だ。
オーロラ姫を演じるエル・ファニングも同様にハマリ役。彼女の代名詞ともいえるこの役柄。おとぎ話の世界から飛び出したかのような美しさと可愛らしさ。純粋無垢で愛に溢れたオーロラ姫を表現するのはやっぱりこの子しかいない。本作では成長した姿であり、良い意味で大人のオーロラ姫を表現していた。同じキャストで続編を作り続けると、俳優の成長具合によっては作品の魅力が損なわれてしまったりというデメリットもある。本作ではその心配は全くなかった。

タイトルがそうであるように、本作の主人公はマレフィセント。そこがぶれてないなと。オーロラ姫が主人公のようにも思えるが、マレフィセントが登場すると一気に作品が引き締まる。絶体絶命のピンチに現れる彼女のカッコよさといったらもう。ヴィランであるのに本作ではまさに英雄として描かれている。前作では彼女の生い立ちの秘密が描かれたが、今回は彼女自身のルーツが判明する。人間とは違うマレフィセント。彼女の生まれた場所、仲間である種族の秘密も判明する。『眠れる森の美女』からだいぶ外れたこの要素には批判もあるかと思う。自分もこれは広げすぎではと感じたのだが、それでも最後はしっかりとまとめて、これはこれで良かったなと。あくまで違う話であるのだから、こういう展開も間違ってはいない。ぶっちゃけ面白ければいいのだ。人間には人間の世界がある。妖精には妖精の。マレフィセントには彼女の世界があって然るべき。彼女の元からオーロラは離れる。また孤高の存在に戻るマレフィセントを思うと悲しくなる。けれど彼女には彼女だけの世界が別にあるのだと思えれば悲しくない。マレフィセントをただのヴィランではなく、彼女のことをしっかりと想い、本作を作り上げた製作側には敬意を表したい。やはりディズニーは愛のある作品だなと。


ありがとうディズニーと言いたい作品だ。
ヴィランという存在はヒーローの敵であり、観る側の怒りを向ける矛先である。そのために時に粗末に扱われがち。子供たちが憧れるのもヒーローやヒロインであり、魅力ある悪役というのは少ない。ディズニーなら圧倒的にプリンセスが人気だ。マレフィセントはディズニーにおいてヴィランで有名。それは悪役としての存在感故に。そんなマレフィセントに新たな方向性を持たせ、さらなる人気を増大させたディズニーの手腕は見事。自分もマレフィセントが好きになった。ディズニーランドのヴィランズワールドのはっちゃけた彼女も好きだし、ツムツムではお世話になりました。そして何といっても本シリーズのおかげでもある。ただの悪役と切り捨てるのではなく、そんな悪役にも愛を持って接する。そんなディズニーの作品性が好きだ。『マレフィセント3』絶対作ってほしい。
maverick

maverick