andhyphen

ありがとう、トニ・エルドマンのandhyphenのレビュー・感想・評価

4.0
予告から察するに親子交流の映画で、162分て...尺長すぎないかと思ったがその点は杞憂だった。ともすると冗長で退屈な展開になりそうなのにこの映画はそれをうまく回避している。
かといって劇的に感動的場面がある訳でもない。どことなくぎくしゃくしている親娘の関係性が描かれた後、父はおかしな変装をして「トニ・エルドマン」と名乗り娘の前に出没する。だがトニ・エルドマンは鬘も入れ歯もおかしく、話しぶりもおかしく、到底娘に見直されるキャラクターではない。トニ・エルドマンの姿や行為が笑いを誘うように作られているのかもしれないが、正直あまり笑えないし劇場でも笑いはあまりなかった。
それでもこの映画が泣けてしまうのは、父も娘もとにかく懸命だからだ。父はただただ娘が心配で突飛な行動に出る。娘にも十分それは分かっていて、でも彼女はとにかく自分に精一杯になり過ぎていてすれ違う。その必死さが心を打つ。
ラストシーンの父の台詞が一番心に染みた。
ちなみに劇場で一番笑いが起きたのは娘の誕生会のシーン。大胆で突飛な展開は必見である。
andhyphen

andhyphen