yoko45

ありがとう、トニ・エルドマンのyoko45のレビュー・感想・評価

4.3
 印象に残る不思議な映画です。長い上映時間は全く気になりませんでした。
 冒頭から父親がどういう人柄か分かります。海外で働く娘をいきなり訪れ一緒に過ごした後、ドイツへ帰ったと思いきや娘と友人たちの女子会に再び変装して現れた場面の娘の表情に笑い、その後も父と娘の微妙な距離に心がくすぐられました。
 後半の父親の伴奏と娘のヒューストンは予想外の展開で驚きです。その後の誕生日パーティーは更にその驚きを上回り尚かつ笑えます。
 父親をうっとうしいと感じる娘から見たらトニ・エルドマンの行いはとんでもない嫌がらせでしょう。でも父親は娘のことがいつでも心配、どう接して良いか分からなくなり、それでも考える生き物だとすると最後の悪ふざけのかぶり物「クケリ」も有りかなと感じました。(かぶり物の頭部がやっと取れた時の表情を撮らず背中だけだったのが良かったです)
 いのちはいつか終わります。ヴィンフリート(父親)は自分のいのちが尽きる前にイネス(娘)に何をしてあげられるのだろう、そういう想いだったのではないでしょうか。
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