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パーソナル・ショッパーのJIZEのレビュー・感想・評価

パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)
3.3
パリを舞台に多忙なセレブのため洋服やアクセサリーなどの買い物を代行する数ヵ月前に兄を亡くした女性が次第に不可解な出来事を引き寄せ欲望に呑み込まれていく全貌を描いたサイコスリラー映画‼全編はほぼ主演クリステン・スチュワートのミステリアスな一人芝居で仕草や雰囲気をデフォルメさせ描いた作品である。原題の「Personal Shopper」は直訳で"買い物代行者"。本作では屋敷を物色するスチュワートが他者に擬態する様を極めて象徴的に映し出している。序盤から屋敷の壁に彫られたXの文字,降霊術,死後の世界などのワードが飛び出すがまさしく全事象が虚像で塗りたくられた現実と幻想の世界を取り違えてしまうような描写の積み重ねでストーリーそのものは進行していく。極論言えば厚みのある人間ドラマが描かれない。単体の不思議な描写(あるいは事象)に重点を置いてるせいか作品の後半で関連付けれるカタルシスがないため作品の構造が不恰好な印象を受けました。スチュワートの上半身ヌード目的やMV調な雑踏が飛び交う日常の光景を眺めみる分ではいいがそれ以上には空洞化しており元が取れない作品。つまり兄の死と抽象的な心霊を結び付けている局面でぜんぶが留まっている。低予算という理由もあるかもしれないが描きかた次第では題材を活かしたハードなスリラー映画へ十分に昇華できたであろう。有名ファッションのアイコン化目的で製作された作品なのか。。スチュワートの妖艶な雰囲気だけを絵的に堪能する深みがないビジュアル込みの作品であった。
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