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パーソナル・ショッパーのpikaのレビュー・感想・評価

パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)
4.0
半分くらいまでこの映画はどういう映画なのか?と見入っていたが、なるほどサイコホラーなのか!
ホラーだと言えば確かにホラーお決まりな演出が多用されてるけどその瞬間を過ぎるとホラー映画というのを忘れてしまうような全体に漂う不可思議な魅力、その大半をクリステン・スチュワートの存在が占めていることの凄さに圧倒された。
少し前に見た「ロスト・エモーション」でもそうだったけどクリステン・スチュワートじゃなければ作品の魅力が削がれてしまうんじゃないかと思うほどの存在感が素晴らしい。本当に魅力的。

一人の人物の日常の行動を抑揚なく淡々と映している映画が大好物なのだけれども、パーソナル・ショッパーという特異な仕事をけだるそうに、何かを悩みながらこなしていく姿を愛でているだけでめちゃくちゃ面白くて、突如飛び出すホラー演出やサスペンス展開にいい意味で驚かされつつも、主人公の願望を軸にして脱却というプロセスのためにホラーな要素を組み込んでいるだけ、っつー潔さやジャンルに迎合仕切らず振り切らないギリギリのラインを攻めてるところとか新鮮で面白い。
ドラマ展開そのものではないところに作家の意図があり、演出によって語っていることからそのような不可思議な味わいに直結しているとは言え、その軸を担うクリステン・スチュワートの存在感そのものが相乗効果で化学反応起こしてるような。
「死刑台のエレベーター」のジャンヌ・モローの如き、スターと言うよりミューズ的な、映画を撮るのに役者を選ぶのではなく彼女を撮りたいから映画を撮りたくなるような、初アサヤスだったんだが作家性と言うよりも強烈なほどクリステン・スチュワートの魅力にやられた。
監督の手腕なのか、彼女の魅力なのか、他の作品も見てみよう。面白かったー。
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