ダウンセット

パーソナル・ショッパーのダウンセットのレビュー・感想・評価

パーソナル・ショッパー(2016年製作の映画)
4.5
私は誰?此処は何処⁇アイデンティティが心許ない役がハマり過ぎのクリステン・スチュワート。
死者との対話を軸とした心理描写はオカルトだけに留まらずスマホを現代のコックリさんのツールとした内面対話が物語の中心に。わかりやすさの本質の裏にはいくつもの層が連なった情報が蓄積されていて、その理解がなされた上での単純化された映像やらメッセージがあるのだけれども、表面に浮かび上がったものだけに一喜一憂してしまうのは受動的過ぎる、想像する事を放棄してしまった者たちへのアンチテーゼなのか。はたまた理解されない座り心地の悪さは言葉のあやを紐解く作業のようにあたかもクリステンの手首に刻まれたインフィニティタトゥに擬えているかのよう。『アクトレス 〜』と見比べるとまた解釈が深まる。


同じようなテーマで映像化された映画として『エンゼル・ハート』がありデ・ニーロが語り部になってくれているお陰で本作より理解しやすい内容になっている。