享楽

午後8時の訪問者の享楽のレビュー・感想・評価

午後8時の訪問者(2016年製作の映画)
4.0
物語は淡々とした展開でいわゆるエンタメ性はほぼゼロに近い。しかし感情に迫るものがあるのだが、それはジェニーという人物の顔を執拗に追いまわすカメラワークが鑑賞者を巻き込むからであろう。些細だと思われた行動をとらなかったがゆえにそれが原因となってある一人の人間の死という結論を先に見せ、それから”多様な原因”とでも呼べるべきものを追って行くジェニー。しかしひっきりなしに患者からのコールがかかってくる。これでは気も休まらないであろうという哀れみのような情が、彼女の喫煙姿から窺える。「サンドラの週末」の監督ということで、今作もそれと同様に社会問題を提示している。ベルギー映画だが、フランス映画に特有の一人の人物に迫って想像力を掻き立てられれような力があった。
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